※この記事の内容はすべて現時点(2021年9月12日)での情報です。購入される際は念のため間違いがないかご確認をお願いします。
タンクレストイレの弱点
タンクがないため見た目がすっきりし、お手入れもしやすく人気のタンクレストイレ。
TOTO・LIXIL・Panasonicなど各社から出ており(Panasonicはタンクレスのみの取り扱い)、各社特長がありどちらのメーカーにするか悩ましいところです。
従来の「タンクあり」では、タンクに溜まっている水を便器内に流すことによる水圧で排水をします。一方の「タンクレス」にはタンクがないため、排水用の水は原則水道管直結(水道直圧)方式となります。タンクレストイレの弱点は、主にこの下でご紹介している4点があげられますが、この「タンクがないこと(水道管直結方式)」による影響が大きそうですね。
ただ、発売当初言われていたタンクレストイレの弱点も、メーカーの努力により一部解消されつつあるようです。以下簡単にご説明します。
低水圧だと排水に問題あり?
例えば戸建の2階にトイレを設置する・高台にあるお宅・マンションの高層階など、水圧が低い場合タンクレスだと排水時うまく流れにくいという弱点があります。これがタンクレストイレ最大の弱点と言えるのではないでしょうか。
確かに一般的なタンクありトイレよりも高圧な「流動時0.07MPa(17L/分)以上」の水圧が必要な商品もあります。
※LIXILサティスSタイプ(ブースターなしの場合)
ただ、現在ではタンクありトイレと同等の「流動時0.05MPa(10L/分)以上」の水圧で大丈夫な商品のほうが多いようです。
※TOTOネオレストシリーズ(NX/AH/RH/DH)・LIXILサティスGタイプ・Panasonicアラウーノシリーズ(L150/S160/V)
数年前だとPanasonicのアラウーノSⅡという商品(現在のS160に相当)は流動時0.07MPa以上の水圧が必要だったのですが、商品改定にともない改善されているようです。
上記LIXILのサティスSタイプも、「ブースター付きタイプ(差額で税抜35,000円アップ)」を選べば、流動時0.05MPa以上の水圧でOKとなります。
水圧は排水にも必要ですが、シャワー式トイレの温水の出にも影響があるようです。
タンクレストイレも年々進化していますね。それでも水圧が不安という方にむけて、この後の実例でおすすめタンクレストイレをご紹介します。
タンクありのような手洗い(手を洗った水を排水に活用)は原則不可
従来のタンクありトイレでは、タンクへの給水を使って手を洗えるという、手洗付き便器が多かったと思います。これは狭いスペースを有効に活用して節水にもなる、よいシステムですよね。
リフォームで、「手洗付きタンクありトイレ」を「タンクレストイレ」に変える場合、原則このシステムが使えなくなります。それでもトイレ内に手洗いが欲しい場合、別途給排水管の新設工事が必要になったり、手洗い器用のスペースがとれないといった問題が生じる 可能性が高い点には注意が必要です。
ただ、こちらもタンクレストイレ出始めの頃と比べると、だいぶ状況が変わっております。
まず、タンクレスだけど手洗い付きの商品があります笑
sumai.panasonic.jp
ただこの場合、タンクレストイレ最大のメリットである「見た目がすっきり」という点が損なわれるのが難点です。
次に、現時点ではPanasonicのみですが「タンクレストイレ専用の手洗器」があるため、そちらを選ぶと、別途手洗い器用の大掛かりな給排水管工事をする必要がなくなります。
アラウーノ専用手洗い | トイレ手洗い | トイレ | Panasonic
Panasonicは「タンクレスのみ取り扱いしている+家電メーカーでもある」だけあって、色々と工夫した商品を出しているなぁという印象です。
停電時に水が流せない?
「タンクあり」ならば停電時も問題なく水を流して給水もされるのですが、「タンクレス」は水道管直結で、基本的に電気をつかってバルブのコントロールをしているため、停電時には通常通りの排水ができません。
従来は停電時こちらのLIXILの動画のように、バケツに水を汲んできて、その水を流す水圧で排水しなければいけませんでした。いかにも水を便器外にこぼしてしまいそうでドキドキしますよね笑
ただ同じLIXILでも新しい商品(2016年~のサティスシリーズ)になると、下の動画のように給排水自体は手動で行うことができるようになりました。手動での操作は必要ですが、バケツを持って「ある程度の勢いで流す」必要がなくなったため、いくぶん停電へのハードルは下がったと思います。
TOTOとPanasonicは同じような形で、すべての商品シリーズで手動での排水が可能(一部給水はバケツなどで行う必要があるものも)。シリーズによっては乾電池で給排水が可能となっているようです。
【TOTO】
レバーハンドルがついていないタイプ| 緊急用応急処置とサポート | お客様サポート | TOTO
【Panasonic】
停電対応 | 機能一覧 | トイレ | 住まいの設備と建材 | Panasonic
断水になるとまた違った対応となりますが、よく言われる「タンクレストイレは停電時に弱い」ついては、当初よりずいぶん改善されているのではないかと思います。
基本的に便座のみの交換ができない・高価
従来のタンクありトイレでは、「便器本体」に「温水洗浄暖房便座」を組み合わせるという考え方でした。例えば、温水が出なくなった・暖房便座が効かなくなったという場合は、比較的安価で簡単に便座部分を交換することで新しくすることができました。
タンクレスの場合は一体型のつくりとなっているため、基本的に便座部分のみの交換ということができません。不具合が出た場合はメーカーによる部品交換や修理が必要となるため、修理に時間がかかる・それなりに費用がする可能性があります。
LIXILではタンクレストイレでも便座(機能部分)交換ができるようですが、結構な金額がするようです。
LIXIL | トイレ | 取替用機能部
タンクレスは見た目もよく機能も充実していますが、本体価格も従来のタンクありと比べると高い傾向にあります。その辺も弱点と言えるかもしれません。
タンクレストイレ弱点【まとめ】
一般的に言われている上記4つの弱点ですが、年々商品が改良されていることもあり、ずいぶん状況はよくなっているのではないかと個人的には思います。
唯一改善されていない点をあげるなら、やはり価格面でしょうか。(本体+メンテナンス費用)
ただ、タンクありでは難しい「見た目のスッキリ感」「デザイン性の高さ」「トイレ内の省スペース化」はタンクレストイレの大きな魅力と言えます。
Panasonicはターントラップ式で流れやすい
上記のタンクレストイレの弱点の中で、最初に書いた「低水圧だと流れにくい」問題。
確かに水圧の数値的には改善されていますが、実際本当にきちんと流れるのか不安という方は多いのではないでしょうか?
例えばTOTOでは厳密にいうと単独の「水道管直結(水道直圧)式」ではなく、タンク式とのハイブリット技術で低水圧に対応しています。TOTOとLIXILは従来のタンク式同様、水圧で流す仕組みです。
一方Panasonicは「ターントラップ式」という独自の排水方式を採用しています。
ターントラップ方式 | 機能一覧 | トイレ | 住まいの設備と建材 | Panasonic
水の勢いではなく、トラップ部分がターンすることで一気に流すため、水圧が低い場合も「より流れやすい」とのことです。
ということで、特にマンションでのリフォームで水圧に不安があるという方には、Panasonicのタンクレストイレおすすめです。
今回の実例内容
K様(マンションリフォーム、和室をWICほか)のタグでご紹介しているリフォームでも、Panasonicの「アラウーノL150」をご採用いただきました。
以前ご紹介したトイレリフォーム実例もアラウーノL150でしたが、どちらもお客様によるPanasonicご指名買いでした。CMの影響なのか(?) Panasonic人気ですね。
Before(リフォーム前)
After(リフォーム後)
和室をウォークインクローゼットに間取り変更するなかで、うまく押入の一部をトイレ側からの収納として活用できました。
上部は飾り棚とし、正面の壁はリビングとデザインの統一感をもたせるグレー系のアクセントクロスに(微妙に色柄は変えています)。下部は掃除用のブラシや洗剤などを入れられる扉付きの収納としました。
便座部分が大きくなっていることもあり、便器前の空間自体は工事前後でそこまで変わっていないのですが、タンクがあるかないかで随分見た目の印象が変わります。
やはりタンクレストイレにすると見た目が非常にすっきりし、トイレが広くなったように感じます。
和室をウォークインクローゼットにしただけではなく、トイレに飾り棚と収納もとれたことでお客様に非常に喜んでいただけました。
単純に便器を新しいものに交換するだけでなく、間取り変更やクロス・床とのコーディネートも含めて、お客様にご満足いただけるご提案・施工を心掛けています。
福岡県内・福岡市内でタンクレストイレへのリフォームをご検討の方は、是非お気軽にご相談ください。